「キャロル」感想-純粋な愛の物語

こんにちは。
マネー・ショート」の記事がやっと完成したことで今回ようやく「キャロルを語ることができます。

最初に一言言うなら、こんなくだらないレビュー読む前に今すぐ本作を観るべきだ。


  • 原題:CAROL
  • 製作年:2015
  • 公開日:2016/2/11
  • 上映時間:118分
  • 監督:トッド・ヘインズ
  • 出演:ケイト・ブランシェット、ルーニー・マーラ、サラ・ポールソン、カイル・チャンドラー、ジェイク・レイシー、ジョン・マガロ他
  • 概要:1952年のニューヨーク。クリスマスシーズンのデバートのおもちゃ売場でアルバイトをしているテレーズ・ベリベット(ルーニー・マーラ)は娘のプレゼントを探すキャロル・エアード(ケイト・ブランシェット)と出会う。テレーズはキャロルに魅了されながらもプレゼントを勧め、購入してもらう。その後キャロルが手袋を忘れているのに気づき郵送する。後日テレーズはキャロルからお礼に食事に誘われて…

評価:10/10(同性関係なく純粋なる恋物語)
オススメ:全員

本作は観る予定が全く無かったのですが、Filmarksにあった大好きなイラストレーター・ぐみちょこさんのレビューを観て
これは観なければ!と思っていました。
ただ、待てど暮らせど和歌山で公開する気配は無く…
そんな時、大阪に行く機会がありなんとか鑑賞にこじつけることができました。

もうね、本当に観てよかったです。

観たTOHOシネマズ梅田は昔からの設備なので、観る前は文句も言ってたりしたのですが、その古臭さが本作の雰囲気に見事にマッチしてしまったという奇跡も起きました。

本作は同性愛を取り扱ってることで映画ファンの間では話題になりましたね。
また、ちょうど公開のタイミングでWHOが映画へのタバコの規制をぶちかましたのも話題になりました。
…ですが、話題になった割には現状観てる人が多いとは思えないです。

本作最大の魅力はテレーズの圧倒的メインヒロイン力だと思っています。
ルーニー・マーラが「ドラゴン・タトゥーの女」と同じく主人公にひたむきな好意を持つヒロインを好演しています。
作中でキャロルが言った通り本当、「空から落ちてきた天使」かと思うレベルですね。

※以下、ネタバレ解説

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詳しい内容

原作は「太陽がいっぱい」原作者パトリシア・ハイスミスによる自伝的小説です。
「同性愛」云々の話はここではあえて語らないでおきます。

テレーズは買物に来たキャロルに一目惚れします。
そして彼女の手袋を届けたのがきっかけで、一緒に食事をして距離を近づけます。

テレーズはボーイフレンドのリチャード(ジェイク・レイシー)に結婚を迫られていました。
一方でキャロルは夫のハージ(カイル・チャンドラー)と離婚することが決まっていると、それぞれに悩みを抱えていました。

そしてそして惹かれあう二人は旅に出ます…

恋愛とは相手が同性なのは些細な事なのです。
だってお互い一目惚れだったんだもの。

ですが、時は1950年台。
大きな壁が立ちはだかるのです。

見所

演出と役者の演技がとにかく上手いです。
ナレーションは一切無しだし、今年の映画では、語らずわからせるの映画筆頭「ブリッジ・オブ・スパイ」以上に登場人物は多くを語るわけではないです。
背景や一つ一つの目の動き、仕草…全てが雄弁に観客に語りかけてくるのです。
空が一番わかりやすかったですね。あの描写は素晴らしいです。
上記のような昔ながらの表現方法が1950年台の雰囲気と見事に相乗効果を生み出しています。

そして冒頭のテレーズとキャロルの食事シーン、
これ実は時系列的には二人が最後に食事したシーンで、
最初はなんとなくで観ていたシーンも、最後にもう一度流れると金槌で殴られたような衝撃を覚えます。
2回目の食事シーンで心の中で「あ゛ーあ゛ー」って叫び続けてました。辛い、このシーン辛すぎる。

一度はキャロルの勧めもあって行ったパーティも途中で抜け出しキャロルのいるレストランに戻るテレーズ。
終盤の見つめ合う二人を観てるだけで胸が張り裂けそうになります。
そして序盤はずっとテレーズからキャロルを見つめるシーンが多かったのに、
さらに最後の最後車からテレーズを目で追うキャロルがああああああry

キャロルとテレーズ

特に推したいのがルーニー・マーラ演じるテレーズのメインヒロインぷり(2回目)です!
「こんな時にタバコが無いなんて!」とキレるキャロルにタバコ買ってくるとすぐ言ったり、
前日に盗聴されて遠慮して距離を取るテレーズとかかわいすぎるでしょ、悶え殺す気ですか!
女子力も高く大和撫子というか、常に一歩引いた感じのテレーズがもうね、最高。
最初は物事を決めることができないとテレーズは自分で言っているのですが、
キャロルと旅をして変わっていく様子が描かれています。

一方でキャロルは大人な雰囲気満点なお方。
服を着ててもこのフェロモンプンプンな感じが凄いです。服を着ててもエロい。
テレーズとは真逆でリードする大人って感じです。
一方で思ったことをすぐ口にしたり、というのもテレーズとは正反対ですよね。
そこからもキャロルは主人公、テレーズはヒロインなんですよね。
その一方でキャロルもハージとの離婚騒動の中で苦しむ様子が描かれ、
決して強くないというところも観客が観てて惹かれる要素なのではないのでしょうか。
テレーズもそこが守ってあげたいって思ったに違いない(思い込み

差し障りの無い程度に男性陣に触れておく

男性陣がウザいとか、目の敵になってるだのキャロルを観た人達のマイナスポイントが大体男性陣に集約されるのですが、彼らの行動は当時の社会というか世間の声そのものだったように感じれます。
彼らに同情はできませんが、私はそんなに酷いとは思いませんでした。
特に世間体の事を考えると何ともいえない気分になりますね。

とにかく切ないです。
観た直後は色々衝撃的でしたが、ゆっくり思い返すと泣けます。これは名作。
こんな美しい物語を観ないなんて損です。

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