「劇場版 ソードアート・オンライン ―オーディナル・スケール―」感想―ファンの期待を裏切らない大傑作

劇場版 ソードアート・オンライン ―オーディナル・スケール―」について語る前に、最初に言わせてください。

アニメでも原作でもゲームでも少しでもソードアート・オンライン知ってるならすぐ行くべき。


  • 製作年:2016
  • 公開日:2017/2/18
  • 上映時間:119分
  • 監督:伊藤智彦
  • 声の出演:松岡禎丞、戸松遥、伊藤かな恵、竹達彩奈、日高里菜、高垣彩陽、沢城みゆき、平田広明、安元洋貴、山寺宏一、神田沙也加、井上芳雄、鹿賀丈史他
  • 概要:アスナはヒロインでヒーロー。

評価:10/10
オススメ:SAOを知る全ての人へ

冒頭で述べた通り、ソードアート・オンライン(以下SAO)ざっくりでいいんで知ってたら絶対楽しめるので、本当に観に行った方がいいです。

ちなみに冒頭で世界観をキリト(松岡禎丞)が簡単に説明してるので、主人公のキリトとアスナ(戸松遥)イチャイチャバカップルっていう前提さえ入れていけば初見の方も意外といけると思います(実際初見の方も評価は良好)。
彼女達はソードアート・オンライン内で婚約をしているので、だからこその二人の劇中での行動、なのですね。

※以下最初はTV版ネタバレ、その後本編のネタバレ(徐々に核心に迫っていきます)

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(全12章の超長文なので覚悟してお進みください)
(というか、予告編観た方が大体わかる気がする…)

1.そもそも「ソードアート・オンライン」って?

原作は日本国内だけでも1,250万部、世界では1,900万部を超えてる大人気ライトノベルです。
アニメも1期2クール(6ヶ月)、Extra Edition(スペシャルアニメ)、2期2クール(6ヶ月)が制作され、原作を知らなかったアニメファンからもかなり高い人気を誇る作品です。
作者は「アクセル・ワールド(以下AW)」の川原礫氏。あ、去年映画公開されてましたね…(あまり思い出したくない)

実はAWとSAOは世界観的には繋がってることが度々示唆されてます。(AWはSAOの未来という位置づけ)
人物的には繋がりはひとまず無いみたいなので、最近のアニメ映画だと伊藤計劃原作の「虐殺器官」と「ハーモニー」に近いですね。(「虐殺器官」の未来を想定して書かれたのが「ハーモニー」)
そういう訳で、一応AWも抑えておくと楽しさ2倍だったりします。

なんとSAOは実写海外ドラマの制作も決まっており制作が「ミッション:インポッシブル」シリーズでおなじみスカイダンス、「ナイト・ウォッチ」の脚本や「アバター(2009)」、「ホワイトハウス・ダウン」の制作に関わったレータ・カログリディスが脚本を書くということで、もうどうなるかめちゃくちゃ楽しみなところ。

さて、内容はと言うと…

2022年、天才・茅場晶彦(山寺宏一)がフルダイブによるVR(仮想現実)マシン「ナーヴギア」を開発。
フルダイブ機能とは現実世界では実際に体を動かすこと無く、脳で直接やりとりし現実世界の体を動かすこと無く仮想現実世界で行動ができるというものでした。
そしてそんな中発売されたナーヴギア対応のVRMMORPG「ソードアート・オンライン」が発売。

しかし、そのゲームはナーヴギア開発者・茅場晶彦によって仕組まれた狂気のゲームでした。
ナーヴギアには強電磁パルスで脳を破壊するという裏機能が備わっており、SAO開始後ログアウト不能、ゲーム世界での死は現実世界での死、外部による強制切断時も電磁パルスにより死ぬというデスゲームに発展。

しかしキリトやアスナ達の活躍により、2年という月日を経てゲームはクリアされ元の世界に帰ってきました。
SAO帰還者(サバイバー)と呼ばれ、SAO帰還者の事件当時の学生達は一つの学校に集められることになります。
実際アスナがシリカ(日高里菜)リズベット(高垣彩陽)と同じ制服着ているのは最初から同じ学校だったわけじゃないんです。
エギル(安元洋貴)クライン(平田広明)は大人だからいませんけどね。
エギルはリアルではカフェを経営。ちなみに彼はアルヴヘイム・オンライン(以下ALO)でもショップを運営していて、現実、仮想共にキリト達の集合場所として使われています。
クラインは…何してたっけ?(割りと失礼
いや、クライン本当にいいヤツなんですよ。本当に…

その後ナーヴギアと違って安全性が高まったVRマシン「アミュスフィア」が登場。
そしてそのアミュスフィア向けに出たゲームで起こった事件にキリトが巻き込まれていくことに。
(映画の劇中で実際にキリトが使ってるのがアミュスフィア)

SAOの後継的ゲームであるALOでキリトの妹であるリーファ(竹達彩奈)、ALOとは全く異なるゲーム・ガンゲイル・オンライン(以下GGO)でシノン(沢城みゆき)が仲間に加わって今に至ります。

一応、冒頭でキリトがモノローグとして簡単に語ってくれますが、最低限鑑賞前に知ってほしいのは事辺り位ですね。
気になった方はTVアニメ版を是非観てください。ALOやGGOの話、そしてその後のマザーズ・ロザリオ編もアニメ化されてるので、リーファやシノンの物語を知りたい方は是非。

そして、劇場版。舞台はマザーズ・ロザリオ編の2週間後になります。

2.オーグマーとオーディナル・スケール

アミュスフィアの対抗機種として「オーグマー」が発売されます。
オーグマーは今までのナーヴギア、アミュスフィアのVRマシンとは異なり、AR(拡張現実)マシンとして登場します。

フルダイブ機能が無い代わりに、現実世界でのAR機能を最大限まで広げたもの。
ARなのでフルダイブ無しに覚醒状態で使用ができ、フルダイブ機能とは違い安全性があると人気に。
フルダイブ中は寝てるような状態であり、無防備なため危険視する人達もいました。実際の危険性はGGO編を観るとわかりやすいです。

AR???ってSAOファンの人達は混乱するところもあるようです。
ただ、AWのファンはちょっとハルユキの世界に近づいた感あって嬉しいですよね。
多分SAO知らなくてもAW知ってる人が初見で観た方がSAOファンより理解力早いです。マジで。

さて、そんなオーグマーのヒットを牽引したのがオーグマー専用のゲーム「オーディナル・スケール(OS)」なのです。
このあたりからは詳細は全部作中で語ってくれるので細かい部分は端折っていきますが、モンスターやアイテムの収集、そして対人戦でランキングを上げていくゲーム。
ランキングが上がるとLAWSONのクーポンや企業の優待が受けれるようになる為にのめり込むプレイヤーが続出しています。

アスナもOSを楽しんでいるのですが、キリトはガチVR派であまりOSには乗り気じゃない様子。
しかし、SAOのボスが実装されると聞いてキリトも参加することに…

3.新たな3人の人物

さて、ここで劇場版に新登場する3人についても少し。

まずは一番の重要人物。オーディナル・スケールでのヒロインともいうべきキャラクター・ユナ
演じるのは神田沙也加さんです。「アナと雪の女王」ではアナを演じ声優グランプリの新人賞も獲得。声優としても安心して聞ける演技力です。いや、初期のもっ先と比べた訳じゃないよ本当だよ。
本人のインタビュー曰く速攻でオファーを受けたぐらいSAOファンとか。まぁシノンが好きなキャラクターって時点で彼女が割とガチなのは理解しました。
(SAOは原作ファンの間で圧倒的に人気なのがシノンとユウキというマザーズ・ロザリオ編のヒロイン。リーファはアニメファンからの人気が高い。なおアスナは殿堂入り。)

ユナはOSでのアイドル的存在。出ましたね、電撃作品恒例「歌姫」。
ゲーム内で彼女が出ると色々な効果を得ることができるのと彼女の歌声で、大人気。
バーチャルアイドルながら遂にソロライブまで開催が決まっています。
しかし、ユナとそっくりな人物が幽霊として現れる噂が出始め…
作中でも最初から人工知能?中の人がいる?と色々憶測が飛び交ってます。一体彼女の正体は…?

続いてエイジ(井上芳雄)。OSの2位に君臨するランカー。
公式サイトではこんなふざけた事になってますが、本編では2位の名に恥じない強さを見せつけます。
SAO帰還者らしき素振りを見せますが、キリト達との接点は?
そしていつもユナの近くに現れるので、どう考えても関係がありそうだが…?

そして重村教授(鹿賀丈史)
オーグマーの開発者で大学教授である彼。彼の研究室から茅場晶彦を排出。原作ファンにとってはこの一文がどれほどのインパクトか。
(今までに何人か「茅場晶彦のいた頃のゼミ生」が出てるから)
本編冒頭からSAOサーバーに向かって何かを呟く彼は明らかにSAOと関わりがあったようだが、彼も茅場晶彦にジェラシーしてた系なのか?オベイロン的なキャラなのか?

そんな3人、共に声優に有名人を起用しながらも本編にガッツリ出ているという力の入れよう。
後半でネタバレしますが、ただのゲストキャラに留まらない今までのSAOワールドにしっかり根付いたキャラと言えそうです。
それにしても、既に大人気のアニメなのに今さら有名人で客引きする必要性も感じないのですが…それか、逆にゆとりから生まれるサービス的精神からなのか。
これが覇権アニメの余裕というものか…!

4.清々しいレベルのダイレクト・マーケティング

メリットもデメリットもあるところですが。
本作の特徴の一つとして沢山の実在企業が出てくることが挙げられます。

キリトやアスナはSONYのh.ear on Wirelessで音楽を聞いてますが、SONYロゴまでちゃんと入ったリアリティ。

その他、LAWSONのからあげクンだったり、東急ハンズがユナのスポンサーで出てきたりとリアル企業が大量に出てくるのが今までのアニメと全く異なる点の一つとして挙げられます。

今まで1,2企業位がスポンサーで実名で作中に出るというのはアニメ映画でもあったのですが、今回はそんなレベルじゃないです。
本当に実写映画さながらにリアル企業の看板とかが置いてあるのです。アニメではこんなの無かった。

これを不快に感じるかどうかは個人の感性の問題にはなるでしょうね。
私は気になりませんでしたが。むしろリアル感に一役買ってると言えるでしょう。

エンドロールは協力のクレジットに実写映画と間違える位の本当に沢山の企業や施設等の名前が。
これが覇権アニメというやつか…と一人震えてました。

つーか、IPA!

 


※ここから本編を重要なネタバレしない程度に語ります


 

5.ヒロイン・アスナ

もちろん今までのTVシリーズで活躍していたキャラもしっかりと描かれています。

それにしても冒頭キリト君が世界観を説明しつつ、いきなりアスナさんとイチャイチャし始めるのもうSAO始まったって感じですね。爆ぜろ。

メインヒロインという次元を超越して正妻と言われてるアスナさん。

本作では現実世界での話なので、私服姿のアスナさんとか制服姿の明日奈(アスナ)が新鮮すぎますね…今までのTV版はずっとゲーム世界での話だったので。
冒頭では明日奈と珪子(シリカ)と里香(リズベット)がキャッキャウフフやってるの本当にいい、本当にいい。

6.MORE DEBAN組に光が…!

シリカとリズベットはMORE DEBAN組と呼ばれて一部のファンからはネタにされています。
アスナ以外のヒロイン達の中でアインクラッド編以降全く出番が無く、本の表紙に原作イラスト担当のabec先生が「MORE」という看板を持ったリズベット、「DEBAN」という看板を持ったシリカを登場させて以来ファンからこう呼ばれるようになりました。

それぐらいスーパーサブヒロイン化していた二人ですが、冒頭から大活躍。

アスナを加えた3人でいるシーンがかなり多く、3人でOSをプレイしボスに挑む展開も!

さらにシリカがすごくヒロインしています。

7.他のキャラももちろん活躍

今回MORE DEBAN組が活躍したお陰でリーファとシノンの出番が少ないのですが、ちゃんと彼女達のキャラを活かした活躍があるので、極端に少なかった!って思うほどにはなってません。

シノンは相変わらず裏のメインヒロインという感じで、TVシリーズのキャリバー編からそうですが、あのしれっとキリトの横にいるのがすごいですよね。
それもアスナのことはちゃんと尊重しつつ、それでもキリトの事は自分が一番わかってる感。
そして美味しいところは絶対譲らない、シノンさん卑怯。

キリトの妹・リーファも出番はかなり少ないですが…あの登場シーン観た後は絶対忘れませんよw

8.音楽

本編ではユナが歌って盛り上げてくれます。神田沙也加起用した担当者天才。
「アナと雪の女王」のアナの曲とはまた違った良さが出ていて本当に耳が幸せでした。

「魔法少女まどか☆マギカ」で本作TVシリーズでお馴染み梶浦由記の音楽も素晴らしいの一言です。
それにしても梶浦由記の曲って明るい曲も多いけど、怖さを出すのが本当に上手い。
あの可愛いユナの曲が一気に反転するあのゾクゾク感がたまりませんでした。

 


※ここから本編の核心に触れてます。未鑑賞の方は進まないでください!


 

9.キリト

もちろん、キリトさんも活躍しますよ。主人公ですものね。

でも最初は現実世界で戦うOSに大苦戦。引きこもりにリアル運動神経求めるなんて無理やったんや…!

しかし、劇中SAO時代の記憶を失ってしまうアスナのために行動するキリト、相変わらずのかっこよさです。
アスナの記憶を取り戻す為、エイジと対立するキリトさんの迫力とか本当にSAOってキリトとアスナの物語なんだなって。

ただ、アスナさんに対して鈍感だったり、どう考えても押し倒せたのに本当に何やってるんだよキリト!

10.ヒーロー・アスナ

そして、やはり強かったアスナさん。

シリカを庇ってSAO時代の記憶を失ってしまうのですが、その事に怯えながらもそれでもキリトに支えられ再び立ち上がります。

あのシリカを助けに来るアスナさんかっこよすぎます!
あの登場シーンだけでも何千回と見直したいです。

そして絶剣スキル出した時は今までTVシリーズ観てたファン総泣きです。
素晴らしい演出です。

11.3人の苦悩と想い

今回登場したキャラについてはやはり、ネタバレしてでも語るべきだということで。

ユナですが、彼女は重村教授が作った人工知能でした。
モデルとなったのは重村悠那。重村教授の娘。
しかし、SAO事件で死亡。ゲームで殺された一人でした。

重村教授はSAO帰還者の記憶を集めてその記憶情報からユナを復活させようとします。
OSでSAO帰還者がゲームオーバーになるとSAO時代の記憶が奪われてしまうのです。
それが今回のオーディナル・スケール事件の核心です。

ユナが人工知能として進化する一方で、重村教授の想いを知り、キリトやアスナ達と触れ合い行動を起こしていくユナが本当にSF感あって好きです。
彼女もまたSAOにいたんだよっていうの本当にSF感あって好きです。(大事なことなのでry

エイジは血盟騎士団(アスナが副団長、茅場晶彦が変装したヒースクリフが団長を務めたSAOでの最強ギルド)に所属し、実力もあったそうですが、ボス戦等は怯えて参加できなかったという人物。

それが原因で仲が良かったユナを目の前で死なせてしまった事を酷く悔やんでいました。
それが重村教授の企みに参加することになるのです。

ここらへん、彼らを一方的に糾弾できないところがありますね…
この世界は本当にSAOによって人生狂わされた人が沢山いるので、1クール目の前半(アインクラッド編)だけでも観るといいですよ。
ちなみにそれ以降もすべてどこかで必ずアインクラッド編に繋がっているので、そういう意味でも重要です。

12.おまけ

SAO帰還者の記憶を集めてユナを作り出すって話、どっかで聞いたことあるような…って考えたら似たようなこと去年の遊☆戯☆王がやってた。(闇遊戯との仮想決闘の件)
重村教授=海馬瀬人説。

アスナは一番最後にOSにのめり込んでた理由の一つが出てくるのですが…クーポンや優待でおこづかい浮かせてキリトにプレゼントをあげるということでした。
アスナは良家のお嬢様でアルバイトもさせてもらえないから、この方法にたどり着いたみたいです。まぁぶっちゃけさすが発想がゲーム廃人(至極冷静な意見)

あと、キバオウさんって出番ありましたかね…

 


 

あまりにも長くなりすぎて後半自分でも何言ってるかわからなくなってますが、とにかく言いたいのは「SAO、超面白いよ!」って事です。

最後までお付き合い頂き本当にありがとうございました!

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