「マジカル・ガール」感想-奇跡も、魔法も、ないんだよ

こんにちは。
今日は最近になってようやく東京以外の地方上映が始まった「マジカル・ガール」を紹介します。


  • 原題:MAGICAL GIRL
  • 製作年:2014
  • 公開日:2016/3/12
  • 上映時間:127分
  • 監督:カルロス・ベルムト
  • 出演:ホセ・サクリスタン、バルバラ・レニー、ルイス・ベルメホ、イスラエル・エレハルデ、ルシア・ポジャン、エリザベド・ヘラベルト、ミケル・インスア、テレサ・ソリア・ルアノ他
  • 概要:魔法少女ユキコになりたかった少女の願いは思いもよらぬ展開へ…

評価:7/10
オススメ:日本人

本作の監督は「魔法少女まどか☆マギカ(以下まどマギ)」、「セーラームーン」に影響されて魔法少女ものを取り入れ(セーラームーンは厳密に言えば美少女「戦士」なのだが、オタク的談義は長くなるから割愛)、まどマギ、エヴァンゲリオンのストーリー展開に影響されたという日本の影響受けまくりの作品になっております。

実際、登場人物のニックネームが日本名だったり、長山洋子の「春はSA・RA・SA・RA」が劇中使われていたりしています。
江戸川乱歩の「黒蜥蜴」の影響を受けたシーンもあります。

まどマギのビジュアル面もストーリーも影響されていると聞けば一部の方から期待が上がるのは仕方の無いことです。
ただ、ぶっちゃけ魔法少女的な要素でいうとほとんど無いものだから、全然まどマギじゃない!ってお怒りの方もいますが、逆にまどマギっぽかったら色々困るわ!

それと、スペインの「闘牛」、「情熱」の部分に触れるシーンがあるのですが、まさにスペインのお国柄的な感じの展開がいいですね(特に終盤

※いつもよりネタバレ多し
※若干「魔法少女まどか☆マギカ」テレビ版及び、テレビ版総集編にあたる劇場版前篇、後篇のネタバレアリ。観てない方はこの機会に是非。(劇場版だけで楽しめます)

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少女の願いが悲劇を起こす

白血病で余命僅かな少女・アリシアは日本のアニメ「魔法少女ユキコ」のファン。
彼女の願いはユキコの衣装を着て踊るのが夢。
いよいよ先の長くないアリシアの為に、父親・ルイスは彼女の願いを叶えるべく奮闘します!

…こう書くと聞こえがすごくいいのですが、ここからが悲劇の始まりになるのです。
ルイスはお金を集めるために方々に駆け回るのですが、いかんせん彼は失業中。しかもコスチュームは超高額(実は、ユキコの本物のコスチュームでプレミア物)。
だが、彼女の先は長くない。
すぐにお金を集める方法…そうだね、宝石店強盗だね。

で、いざ決行!というところで、2階からゲロが降ってきます。きたない。
ゲロの主はバルバラ。本編ではここから一旦バルバラ視点で物語が始まります。
彼女は精神を病んでいるみたいで、そこら辺が回想では描かれています。
夫とは最近不仲な状態。寂しさで薬を酒でガバ飲みしてたところ、ゲロったということなのです。
寂しいバルバラはルイスを家に呼びます。
寂しい人妻と会うと、もう寝るしか無いですね。そうですね!

そんなわけで、一夜を過ごしてしまうわけですが、ルイスはそれをネタに夫にバラす、バラしたくなければ金を用意しろと言ってきます。
ルイスがどんどんゲスくなっていきますね。いいぞ、もっとやれ。
ルイスは友人のつてを使って「お仕事」でお金を調達します。

負のスパイラル

そして念願のコスチュームを手に入れたのですが、アリシアはどこか不服そう。
実際に全然コスチュームを着てくれないのです。
それは、なんと魔法の杖が足りなかったのです!

(; ・`д・´) ナ、ナンダッテー !! (`・д´・ (`・д´・ 😉

てか、魔法の杖の方が高いのかよ!w

ルイスは一度だけと言ったのに、再度バルバラを脅します。
さらに高額なためバルバラは「お仕事」で知った、蜥蜴部屋に行くのです…

蜥蜴部屋でボロボロになったバルバラは元教師で恩師のダミアンの家に駆け込みます。
すぐさま入院させたダミアンはルイスに脅されていたことをダミアンに告白します。
なお、ダミアンはバルバラの持っていた本をクンカクンカする変態さんです。
本当は一線を越えたかったのか、それとも越えてしまったが故に刑務所に放り込まれたのか…多分後者。
(ダミアン視点のシーンも幾つかあって、最初に刑務所から出てきている)

願いは呪い

ここからは、前述の通り情熱的演出ですね。
スーツをビシっと身にまとう変態紳士ダミアン。
ルイスを殺し、彼の家に乗り込む、そこに待ち構えていたのは…

魔法少女アリシアです。

彼女はルイスが帰ってくるのを待っていたのです。まぁ、殺したけど。

最後のシーンも冒頭のシーンに繋がる良い展開なのですが、そこは実際に観ていただきたいところですね。(今さら惜しむ
また、実際アリシアが殺される時、ダミアンに後ろを向けと言われても、ダミアンを睨み続けていたのが印象的ですね。

こうして振り返ると願うと一時的に幸せでも周りから不幸の連鎖になっていく点(杏子)や、自分以外の人間の幸せを叶える事にリターンはない(さやか)、魔法少女になった時点で終わり(まどか)という展開はかなりまどマギっぽいというのが個人的な感覚です。

普通にダークな展開で個人的には満足の一作になっています。
まどマギみたいにファンタジーやSF要素は一切ないのですが、前述のような願いから呪いが生まれる展開、どこまでも救いが無い感じなのはまどマギに通ずる部分はあるので、やはりまどマギが好きな方にはおすすめです。

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